日本心・血管病予防会10周年記念講演会

〜ここまで進んだ血管病治療〜

日本心・血管病予防会10周年記念講演会

〜ここまで進んだ血管病治療〜

オンライン市民公開講座

下肢閉塞性動脈硬化症に対する薬物治療

国際医療福祉大学医学部

宮田 哲郎

体の隅々に酸素と栄養を運び、老廃物を肝臓や腎臓に運んで処理する血液の通路となる器官である「血管」は、身体の血管を毛細血管にいたるまで全部繋げると地球の2周半に相当する10万kmにもなり、身体で最大の臓器といわれています。今回は、加齢と共に動脈硬化が生じた結果、脚(あし)の血管が詰まってくる下肢閉塞性動脈硬化症に焦点を当てます。

我が国の65歳以上の高齢者が総人口に占める割合は27.7%(2018年)と過去最高となっています。また、糖尿病など動脈硬化に結びつく病気が増加した結果、日本人の下肢閉塞性動脈硬化症の患者数は数百万人に達するともいわれています。動脈硬化は全身の血管に生じるため、脚の血管が詰まった患者さんは、心臓の血管が詰まる心筋梗塞や、脳の血管が詰まる脳梗塞にもなり易く、健康寿命が短く生命予後も悪いという深刻な問題を抱えているのです。

このため、下肢閉塞性動脈硬化症の治療目標は、脚の血管が詰まったことによる脚の痛みを克服して生活の質を改善することと、心筋梗塞や脳梗塞になることを少しでも減らし、健康寿命を改善することの二つになります。この目標を達成するために、最近は様々な薬が開発され、また、詰まった血管のバイパス路となる血管を発達させる遺伝子治療も行われるようになりました。残念ながら老化は止めることができませんが、豊かな老後を目指すために少しでも役に立つお薬の話をしたいと思います。

講演動画

プロフィール

1979年3月

1979年6月

1980年9月

1989年7月

1998年4月

2003年11月

2004年4月

2012年7月

2013年11月

2014年4月

東京大学医学部医学科卒業

東京大学第二外科研修医

東京都立墨東病院などで一般外科勤務

米国Harvard大学留学(人工血管基礎研究)

東京大学大学院医学系研究科血管外科学講師

東京大学大学院医学系研究科血管外科学助教授(准教授)

東京大学医学部附属病院血管外科診療科長

東京大学医学部附属病院血管外科病院教授

国際医療福祉大学教授(至現在)

山王病院・山王メディカルセンター血管病センター長(至現在)

(学会活動)

 日本血管外科学会前理事長、日本脈管学会副理事長、日本静脈学会理事、リンパ腫治療学会理事、日本医療安全調査機構総合調査委員会委員長など